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執筆者の写真Painter MAKOTO OGISO 小木曽 誠

太郎ちゃん

少しリハビリも兼ねて文章を書いてます。良かったらお付き合いください。

「(豚の太郎ちゃん)」1998年制作 30号

この作品は自宅で制作した作品。当時お金もない学生であった私は、ボロくても良いから2Kはあるアパートを探して転居を繰り返していた。葛飾区の端、千葉県松戸の隣「金町」と言うところにアパートを借りたのは大学生2年生の頃。その金町で2度引越し、この作品は2つ目のアパートで描いた作品。20世紀末のこの時代は景気も非常に後退し、私達世代は「団塊ジュニア」から「ロストジェネレーション」と呼ばれる世代に移行して行った。そんな時代の中神戸で悲しい事件が起きた。当時はとてもセンセーショナルに報じられ、やはりそれの影響がこの作品にも少なからず影響しているのかも知れない。

 何か描けないかと、アメヤ横丁のセンタービル地下一階に足を運んだ私は、たくさんの「アジア食材」の売っている店舗の中で、この豚の頭(「太郎ちゃん」3000円)が売られていた。当たり前に日常で食する豚も「頭」が売っていてそれに衝撃を受け、すぐに購入し持ち帰った。ビニール袋を2重にして電車で持ち帰ったが、途中から袋の底に豚の「血」が染み出し、世相もあってか、電車の周りにいたお客さんは皆別の車両に移動したことを記憶している。1日半徹夜し肉の部分を描き、その後肉を削ぎ落とし、骨だけにして描いた作品です。


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